相続登記の義務化

所有者不明の土地の問題を解決するため、2021(令和3)年4月の国会で民法及び不動産登記法が改正されました。
土地の相続や所有者の住所変更をした際の登記申請を義務化し、違反した場合は過料が科されます。
また、管理が難しくなった土地を国庫に返納できる制度を新設し、持ち主が誰かわからない土地の管理を強化するといったものです。
施行は、相続登記の義務化は3年以内、住所変更登記の義務化は5年以内を目指しており、現時点では登記を行わなくても過料を科されることはありません。

現在、相続登記や住所変更登記は不動産所有者の任意となっているため、土地の所有者が死亡しても相続登記がされないこと等を原因として、不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず、又は判明しても連絡がつかない所有者不明の土地が生じ、その土地の利用等が阻害される問題が生じています。
国土交通省の2017年の調査によると、全国の土地の2割の所有者が分からないそうです。
分からない理由は相続登記の不備が66%、住所を変更していない例が34%を占めています。

義務化された登記の内容は、相続は土地の取得を知ってから3年以内、住所変更は2年以内に申請しなければならないとしています。
違反すれば相続は10万円以下、住所変更は5万円以下の過料を設けることになりました。

法務局は住民基本台帳ネットワークを使って、亡くなった人の情報や、住所変更が分かるようにシステム構築され、登記官が死亡情報を職権で表示したり、本人の同意を前提に住所を変更したりできます。

また、望まない相続により土地が放置されるのを防ぐため、新法「相続土地国庫帰属法」で、相続人が取得した土地を手放せる制度を規定します。
相続した土地の管理が難しい場合、建物や土壌汚染がなく、担保が設定されていないなどの要件を満たせば、10年分の管理費相当額を納付のうえで、所有権を国庫に帰属させられるようになります。

複数の人が所有する土地や建物の一部で所有者が分からない場合も、相当額の供託により不明者の持ち分の取得・売却を可能に。不明者への公告を経れば残る共有者の同意で土地を利用できるようにもすることなどが盛り込まれました。

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