『経営業務の管理責任者』の規制緩和について

『建設業法』及び『公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律』(いわゆる『入契法』)の一括改正案が、2019(令和元)年6月5日の参議院本会議で全会一致で可決・成立し、令和元年6月12日に公布されました。

現在、建設業法における許可制度の要件は以下4点から構成されています。

  1. 経営能力(経営業務管理責任者)
  2. 財産的基礎(請負契約を履行するに足りる財産的基礎・金銭的信用)
  3. 業種ごとの技術力(営業所専任技術者)
  4. 誠実性(役員や使用人等の、請負契約に関する不正・不誠実さの排除)

その中でも『1.経営能力(経営業務管理責任者)』は以下のような要件があり、かなり厳しいものとされていました。

『経営業務管理責任者要件』
(建設業の経営に関する一定の経験を有する者が、一名以上常勤役員等であること)
① 許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
② 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
③ 許可を受けようとする建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有する者
-経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
-6年以上経営業務を補佐した経験

ところが、今回の改正によって『経営業務管理責任者要件』の緩和が決まっております。

(1)建設業許可基準の見直し(第7条関係)
許可基準について、法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が、許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であることなどとする要件を見直し、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの(『経営管理責任体制』)として国土交通省令で定める基準に適合する者であることとされた。

省令で定める事項については、詳細が決定し次第追って通知するが、国土交通省令で定める基準に適合する者として、現行の要件を満たす場合の他、建設業における相応の管理職経験や建設業以外の役員経験などを考慮し、その者に加えて適切な補助者を置く場合など、会社全体の体制を評価することを検討している。

また、新たな要件として適切な社会保険に加入していることを規定する予定である。

※建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律の公布及び公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律の公布・施行について(通知)( 国土建第52号令和元年6月14日)の抜粋

現時点ではまだ『規則』の改正はされておらず、具体的な基準等は残念ながら不明ですが、建設業許可取得のハードルが以前より大幅に下がることが期待されています。

改正法は、2020年10月1日から施行とされています。

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