「相続時精算課税制度の選択」について

今回は、相続時精算課税制度の選択についてお話させて頂きます。
相続時精算課税制度とは、平成15年に新設された制度で、高齢者の保有する資産を次世代に円滑に移転させることを目的とした“贈与税”に関する制度です。

適用条件としては2点挙げられます。
① 原則60歳以上の父母または祖父母からの贈与
② 受け取る者(受贈者)が20歳以上の直系卑属(子や孫)の推定相続人である贈与

贈与税額の計算方法については、下記の通りです。特別控除額2500万円が適用されます。
(取得した財産の価額合計―特別控除額2500万円)×20%

例えば、同一人から平成28年に1000万円、平成29年に1000万円、平成30年に1000万円贈与を受けた場合は、最後の平成30年の500万円が基礎控除額2500万円を超過するため、一律20%が課税されます(※500万円×20%=納付額100万円)。
この制度は、贈与者ごと、受贈者ごとに計算します。過去に同一人から相続時精算課税制度によって控除を受けた場合は2500万円から既に控除を受けた金額を差し引いて計算します。裏を返せば、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用し贈与税額を計算します。

ご理解いただきたいポイントが2点ございます。
① 贈与をした時点においては2500万円が特別控除として非課税になりますが、この制度はその名の通り「相続時精算」課税制度です。贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時(相続時)の財産に、この制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
② 手続きについては、贈与を受けた年の翌年2/1~3/15に相続時精算課税選択届出書を税務署長に提出しなければなりません。納付税額が0円であっても申告が必要です。

相続税対策として生前贈与を考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年間110万円までの基礎控除との併用は出来かねますが、相続時精算課税制度を選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。

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